私がボイラーマンだ

3度の飯よりボイラー好き。ボイラーをこよなく愛する火力発電所勤務の変態ボイラーマンの日常を綴ったブログ

発電所の安全管理審査について

発電所に勤めているなら必ず知っておかねばならないのがこの安全管理審査というものです。

 

電気事業法で定める電気工作物(ボイラー、蒸気タービン等)については、定められた時期に定期事業者検査という法律で決められた箇所の点検を行い、その結果を記録してその実施に係る体制について確認を行うため、安全管理審査を行う第3者機関にて安全管理審査を受審しなければなりません。

 

ボイラー・タービン主任技術者取得を目指すものとしてはやはりこの項目については知っておくべきだと思っているので、少し前にこの安全管理審査についての講習に参加してきました。

 

今回はその講習で得た知識を忘れないよう、自分の復習の意味も込めて書いておこうと思います。

 

【安全管理審査とは?】

電気事業法により平成12年より創設された、事業用電気工作物の設置者等が行う検査の実施についての体制を客観的に評価するための制度です。

要は発電所などの検査をした場合に、検査の体制や内容、結果に対してそれが問題ないかどうか?というものを、発電所内の人間でなく外部の第3者によって判断してもらうというシステムです。

今まで全ての検査は国が直接行っていましたが、この制度の導入により登録審査機関による検査でも認められるようになりました。(ただし現在は火力発電と一定規模以上の風力発電のみこの制度が導入されており、それ以外の設備は引き続き国が審査)

事業用電気工作物の設置者は使用前及び運転後には決められた周期で必ずこの審査を受けなければなりません。

 

私は昔、定期事業者検査と安全管理審査を同じようなものだと混合していましたが、定期事業者(または自主)検査はあくまで設置者が自らの責任で行うもので、安全管理審査は第3機関がその定期事業者(または自主)検査の内容を審査するものなので全くの別物となります。

 

なので順番としては

こんな感じになります。

 

ちなみに安全管理審査には

・使用前安全管理審査

・溶接安全管理審査

・定期安全管理審査

の3つがありましたが、このうち溶接安全管理審査は平成29年4月以降廃止となり、これに関しては溶接事業者検査を設置者が実施しその結果を国へ報告するだけで良いこととなりました。(ただし定期安全管理審査の機会があった際に簡易的な確認はある模様)

 

【安全管理審査の登録機関】

・発電設備技術検査協会

・日本検査株式会社

・SOMPOリスクマネジメント株式会社

・日本ボイラ協会

・インターテック・インダストリー・サービスジャパン株式会社

・ビューローベリタスジャパン株式会社

・Winspection合同会社

日本海事協会

令和4年現在は上記8つの機関が登録されており、私の中では発電設備技術協会、通称「発電技検」が一番有名だと思ってます。

今回私が受講した講習も、この発電技検が主催したものです。

 

この機関には発電設備の種類や点検項目に関して検査出来るものと出来ないものの区分があります。

①火力・燃料電池発電設備の使用前安全管理審査

②火力・燃料電池発電・風力設備の定期安全管理審査

③溶接事業者検査の実施状況と結果の確認

この3つのうち、それぞれの機関で出来るものを〇とすれば以下表のようになります。

検査費用も規模や内容によって変動はあると思いますが、多分相場は10数万~50万くらいではないでしょうか。(前職も現職もこれくらいの予算でしたし)

 

【定期事業者検査のインターバル】

定期事業者検査は基本的にボイラー設備で2年に1回、タービンで4年に1回の周期で受ける必要がありますが、下記表のようにシステム区分が高いと次回の点検周期を延長することが出来るようになりました。


このシステム区分というのは、ボイラー・タービンに関する運転・保守管理がlotなどによる常時監視や予兆把握技術の導入などで高度に行われていると評価された組織がこの定期事業者検査のボイラー・タービンに関わる検査について通常の2年から最大6年まで延長することが出来るというシステムです。

 

現在このシステムの最高ランクであるS区分に認定されている事業者を調べると取得時期順に

そうそうたる会社が最高評価であるシステムSに認定されています。

余談ですがこの中の会社から我が社にも何人か来ています。

その中には私のような凡人では到底追いつけないような地頭や知識を有している人と、想像を絶するポンコツな人の2極化な人達がいました。

 

【システム区分による安全管理審査項目】

恐らく大部分の事業者に当てはまるであろう「個別」という区分では法定事業者検査に関する審査のみで行われます。

 

システム区分がSまたはAになれば定期安全管理審査の時期を延ばすことが出来ますが、当然これに評定されるためには十分高度と認められる取り組みを行う必要があり、それぞれ以下の審査に通る必要があります。

 

具体的な内容は分かりませんが、まぁ要するに

めっちゃ面倒くさい

ということだけは確かでしょう。

 

人に余裕があり優秀で熱心な人材のいる大企業なら出来るかもしれませんが、我が社のように人は最低限、優秀な人は・・・言わずもがな。

というか我が社に限らず大部分の企業はこんなんやってる余裕ないんじゃないでしょうか。

 

【最後に】

以上が私が講習で勉強した安全管理審査についての内容です。

 

実務はやったことないのでにわか知識になりますが、万が一将来BTなんかを取得して実務をやることがあった際に困らないよう、やらなければならない職務についての最低限の知識は覚えておこうと思います。