基本的に発電所は24時間運転していますが、定期的に停止させて点検・メンテナンスを行う日があります。
この発電所の定期検査は定期自主検査と定期事業者検査の2種類あり、定期事業者検査は数年に1回、法的に必ず行う必要があります。
日数や頻度は会社によって異なり、発電所単体であれば年1回に1か月ほど止めますが、蒸気や電気を工場に使用している自家発電所はその工場の稼働日に合わせて起動・停止を行う必要があります。
本来はボイラーは停止させて自然冷却させるさせるのが一番設備に優しいのですが、これをすると数日間待たなくては完全に炉が冷却できないので、時間に制限がある場合はファンを運転したまま冷却をする「強制冷却」を行います。
強制冷却を行えば自然冷却に比べ格段に速く炉内を冷却することができます。
ただ、当然急激に炉の温度を低下させるため設備的にはあまりよろしくありません。
特に炉中にある耐火材はこの強制冷却で急速な伸縮に耐えれずひび割れたり、ひどい時は脱落したという事象も聞いたことが有ります。
【定検中の運転員業務】
基本的に設備関係の補修作業は業者が行うので、停止中の運転員はその作業が行えるよう、バルブや電源の開閉操作などの段取りやストレーナ清掃、オイル交換などの簡易作業を行います。
運転員で設備関係の技術のある人達がいる場合、補修作業も運転員で行う所もあります。
また、プラントが動いていないので当然夜勤の必要もありません。
なので会社にもよりますが、夜間中は完全な無人となったり、人がいてもせいぜい1~2人程度だったりします。
この時の夜勤中は仕事もなく暇なので勤務中はほぼ寝てるか遊んでます。
【定期事業者検査】
ボイラーは2年に1回、タービンは4年に1回の頻度で定期的に点検しなければならない項目が法により決められています。(定期事業者検査)
ただし、ボイラーについては
・定格圧力5%超過での運転が12時間以内
・定格温度28度超過で運転されていない
・前回点検後に事故・故障が無い、または恒久的な防止対策がなされているとみなされる
等の条件を満たし、更に会社のランクが一定以上であれば更に2年追加し最大4年まで延長できるそうです。
(ただし会社のランク等を満たす条件は色々厳しいと聞きましたが)
主な検査内容はいろいろな個所の腐食や摩耗状況が良好な状態であることを確認する事になりますが、この時水管などの内部を見るために管寄部を切断して内部点検後に再び溶接を行ったりするため、この溶接部が運転中の圧力に耐えられるかを確認するための「水圧試験」が必要になることがあります。
また、安全弁が規定圧力で動作するかどうかの点検の為の「安全弁封鎖試験」や、タービンが規定回転数以上で確実にトリップするかどうかの「過速度トリップ試験」など、様々な検査を得て運転再開となります。
今回は全ての検査を行う計画なので、ボイラーの起動時間は過去最長の27時間を予定しています。
長すぎるので当然運転員は当直で入れ代わり立ち代わり交代しながら起動操作を行います。
私ですか?
当然27時間勤務するけど?
やめろ言われても勝手に来るけど?
ボイラー好き男がこんな楽しいイベント逃す訳がないでしょう?
ボイラー起動が完璧にできてこそ1流のボイラーマン。
ここが腕の見せ所です。頑張るゾ☆