蒸気タービンでは電気事業法により、本体及び付属設備について運転開始日及び前回の定期検査終了後4年を超えない時期に定期事業者検査を行わなければならないと決められています。
今回は実際にどのような項目について検査しなければならないかをご紹介します。
・蒸気タービンの検査項目と検査方法
電気事業法施行規則第94条の3第1号に定める定期事業者検査の方法の解釈から抜粋
⑴車室
車室上部を開放し、ラビリンスパッキン類を取り付けた状態で目視点検を行う。
■判定基準
運転に影響があるような著しい変形や減肉などがないか、亀裂及び蒸気漏洩がないか。必要に応じてPT検査も行う。
※PT検査とは
⑵車軸、円板、動翼
車室開放状態の範囲で車軸は取り外さず回転させ目視点検を行う。
必要に応じてPT検査を行う。
■判定基準
車軸:運転に支障の出る傷や曲がりが無いか、軸継手に変形や摩耗・緩みが無いか、軸シール隙間に著しい変形や接触痕が無いか。
円板:運転に支障の出る変形や減肉が無いか、亀裂が無いか。
動翼:運転に支障の出る変形・浸食・打痕が無いか、各部シール隙間に著しい変形や接触痕が無いか。
⑶隔板、噴口、静翼
上半部高圧段の噴口の目視点検を行う。
隔板を車室に取り付けた状態で目視点検を行う。
必要に応じてPT検査を行う。
■判定基準
隔板:運転に支障の出る変形や減肉が無いか、亀裂が無いか。
噴口:運転に支障の出る変形・浸食・打痕が無いか。
静翼:運転に支障の出る変形・浸食・打痕が無いか。
⑷軸受
軸受部の目視点検を行う。
■判定基準
運転に支障の出る傷・変形が無いか。
⑸主要弁
主蒸気加減弁や主蒸気止弁、再熱蒸気弁の各主要弁を分解しストレーナー、弁体、弁座等の点検を行う。
必要に応じてPT検査を行う。
■判定基準
運転に支障の出る変形・摩耗・損傷・蒸気漏洩が無いか。
弁体・弁座に運転に支障の出る変形・浸食・打痕が無いか。
⑹非常停止装置
非常調速機、トリップ機構の目視点検を行う。
分解開放したものについては組み立て後に作動試験を行う。
■判定基準
運転に支障の出る変形・損傷が無いか。
調速計器により実動作試験を行い、規定値以内で動作すること(作動値:定格速度の110%)
⑺復水器
水質を開放し内部及び細管の目視点検を行う。
■判定基準
内部及び細管に著しい腐食や付着物が無いこと。
⑻蒸気タービンに付属する管
測定計画に基づき管厚さの測定を行う。
前回点検時の測定結果を踏まえ余寿命評価を行う。
必要に応じ今後の測定計画策定又は見直しを行う。
■判定基準
必要最小肉厚の確保及び減肉速度から次回の定期事業者検査まで連続運転において必要最小肉厚を確保できること