プラントの点検時にバグフィルタのろ布を新品に交換した場合はろ布にプレコートを行うことが推奨されています。
・・・と言ってもどういうことなのかよくわかんない人もいると思うのでバグフィルタとプレコートについて少し説明します。
【バグフィルターとは?】
ボイラーで固体燃料を燃やすとフライアッシュと呼ばれる非常に細かい灰が生成されます。
この灰が排ガスに混じって煙突から排出され大気中に拡散するのを防ぐため、ろ布と呼ばれるフィルタを用いて排ガスをろ過し、このフライアッシュと排ガスを分離集塵するための装置です。
ろ布に付着したフライアッシュは上部からパルスエアを打ち付け払い落す「逆洗」という工程で剥離させ、コンベア等でフライアッシュ用のタンクに集められます。
ボイラーの大きさにもよりますがバグフィルタの中にはこのろ布が何百本と入っており、経年劣化の度合いにより都度新品に交換しています。
【プレコートとは?】
新品に交換したまっさらな状態のろ布に灰や消石灰などの粉末剤を散布して粉末による一次付着層を形成させることをプレコートと呼びます。
普通に考えると新しいろ布にわざわざ粉末の吹付けを行うのは勿体ないように思えますが、新品のろ布は集塵率があまり良くないことや、流速の早いフライアッシュがろ布に直接衝突することで損傷してしまったりする恐れがあります。
なので先ほどの説明のように、パルスエアによる逆洗でも落ちないような強固な一次層をあらかじめ形成させると、この層によってろ布に直接フライアッシュが衝突することを防げるのでろ布の目詰まりや破損・焼損防止に繋がります。
また逆洗時にフライアッシュが剥離しやすくなる効果もあります。
以上が私の知っているバグフィルタのプレコートというものです。
ちなみに公害防止管理者大気の勉強でも出てきた知識だと思うので結構知ってる人もいるかもしれません。
しかし以前メーカーに対してプレコート実施の可否をヒアリングした所
本来プレコートは重油バーナ使用の際に発生する未燃分がろ布に付着することを防ぐことが目的の為、必要なし
との回答だったそうで、そういう理由があったことは知りませんでした。
・・・でもそれが理由なら今までもやらなくて良かったのでは・・・?🤔
そして今後も別にやらなくていいのでは・・・
前職でも現職でもプレコートはやっていたし、本来やるものと思っていたのですが、実は
「やった方が良いけど別に絶対やらんといかん訳ではない」
程度のものであったということでしょう。
今回やらずに特に不具合が無いのであれば確かにやらなくても良いのかもしれませんが、ちょっと納得いかなかったので今回調べてみました。
こういうやった方が良いけどやらなくても良い作業を削ることで予算は安くなりますが、いつか設備にシワ寄せが来るような気がせんでもない。今日この頃です。