色んな合格体験ブログを見ているとけっこう紹介されていることの多い専門誌
月刊「新電気」
私も興味が湧いて試しに12月号を購入してみました。
内容はまさに電気マニアたちの為の電気マニアによる電気の為の知識が掲載されており、電気初心者の私にはまだついていけない内容も多々ありました。
誰に需要があるんだこれと言いたいコラム。
これを見て
「なるほどぉ・・・俺も作ってみよ!」
ってなるのが電気野郎なのかな?
その域にはまだ達していません。
でもそんなニッチな内容ばかりでなく、当然電験3種を目指す人向けの易しい入門講座や電験3種に合格した人の合格体験記など初心者向けの内容も載っています。
そんな中でも一番興味を持ったのが
理論と実務を結ぶQ&A
というコラム。
ここでは実際に発電所などで起こった事故事例を元に、理論的にどのような事が原因でその事故が起こったのかを解説してくれています。
12月での事例は
「ボイラートラブルによりタービン発電機を解列したがそのまま無負荷運転を継続した。その後タービンを停止させようとタービン回転数を減操作した所、遮断器CB重故障(励磁ダイオード故障)警報が発報した」
というものでした。
この原因は
本来発電機解列後に界磁遮断器を切ってからタービン回転数を減操作しなければないらないものを、界磁遮断器を切らない(AVRが生きた状態)でタービン回転数を下げたことで励磁ダイオードに過電流が流れてしまい重故障となった。
ということでした。
コラムではこの原因でなぜ過電流が流れたのか?ということを電験に出てくる公式を使用して解説してくれています。
(ちなみにこれは機械科目の同期機を勉強していれば分かるそうです。私はまだ勉強していないのでさっぱりです)
発電所で仕事をしている私にとっては実務が絡んだ勉強が出来るので、とても興味深く読むことが出来るので楽しいです。
ただ一つだけ気になる点
画像右上の【対策】に書かれていること。
マニュアル通りの操作を徹底する
・・・
マニュアル通りの操作ができなかった(しなかった)から今回の事故が起こったのに、マニュアル通りの操作をしろということが対策と言えるのかこれ?
実際運転員をしている立場から言えば、ボイラートラブルが起こっている時なんて相当慌てています。
数秒で状況が激変するそんな時に、悠長にマニュアル通り操作できる人は熟練の達人でもないと難しいです。
紙面だけでは実際の状況は分かりませんが、文面を見て想像すると
トラブルが起こってボイラーが持たないのが分かったので取り敢えず発電機は解列した。
でもあたふた色々操作しているうちにタービン停止することを忘れていたので、慌てて止めようとしたら界磁遮断器切り忘れた
と言った感じではないでしょうか。
これで
「ちゃんとマニュアル通りやれ!」
で終わるのはちょっと酷だと思います。
例えば界磁遮断器を切らなければタービン回転数を下げられないような制御ロジックを組み込むことはできないの?
人はミスをするものです。
それがあるから機械的に保護できるようインターロックなどが組まれているのです。
トラブル対策を人間側で何とかしようとするのは悪い習慣で、それが積み重なってまた事故につながります。
予算が厳しいとか理由はあってももう少しまともな対策をしてほしいと現場の人間は思います。
まぁそんな感じでなんやかんや楽しめる雑誌だったので、これからも購読を続けていきます。