先日12日、日本に未曾有の台風がやってきました。
長野や関東方面では甚大な被害を受け、水害や大規模停電等も各地で起こり今も復興が続いている様です。
私の地域では幸いそれほどの被害は無かったのですが、台風は地震などと違って事前に予測ができる自然災害の為、私たちプラントの運転員は今回のような台風襲来が予報されるときは、必ず台風対策を行っています。
【台風準備】
①土嚢の準備
プラントには油タンク・排水槽・輸送コンベア等がある地下ピットが多く存在します。そういった地下へ大量の雨水が侵入し設備にダメージを与えるのを防ぐため、あらかじめ地下へ行くラインへは土嚢を配置しておきます。
②排水ポンプの準備
どんなに雨水侵入対策をしても予想外の箇所から水が浸入してしまうことは多々あります。
そんな時の為に携帯できる小型排水ポンプを準備しておき、万が一雨水が溜まっている所があれば排水ポンプを設置して雨水を野外へ排水します。
◎排水ポンプ例。これにホース等を繋いで排水します。
③各所固定作業
現場には普段使用している工具用棚や掃除用具入れ、カラーコーンや作業台といった備品が各所に配置されています。
普段は問題ないですが台風のような強風が発生すると、こういった重量のある備品ですら飛ばされてしまう危険が有ります。
なので、こういった備品は他の倉庫内へ撤去しておくか、ロープやテープ等を使って現場の手摺りなどに固定しておくことで飛散する危険を無くしておきます。
④各所養生作業
普段野積みになっているコンテナやタンク・缶などは通常の雨程度であればそのままでも問題無いのですが、台風などとなると内部に大量の雨水が混入してしまう恐れがある為、こういったものにはブルーシート等で覆うなどして雨水混入対策を施しておきます。
⑤防液堤排水弁封鎖確認
薬品や油タンク周囲には漏えい時に周囲への拡大を防ぐための防液堤が必ず存在します。
この防液堤の排水弁は普段から閉止してあるのが普通ですが、雨水がだんだん溜まっていった時などはたまにこの排水弁を開けることがあります。
なので台風など雨が多く降る時はむしろ開けておきたいところですが、万が一飛散物などでタンクが損傷し薬品や油が漏洩した時にこの排水弁が開いていると川や海に直接この液が排水されていってしまう危険がある為、台風前にはこの排水弁が確実に閉止されているかをしっかり確認する必要があるのです。
【台風時】
台風対策を行ったら、後は台風が過ぎ去るのを静かに待ちます。
台風時は思いもよらぬトラブルが起こる確率が高いので、ひたすら何も無い事を祈るばかりです。
ちなみに今回の台風時、私のプラントでは
・普段故障しないような設備が重故障を起こした
・燃料系統がやたら詰まった
以上2点の不具合が発生しました。
この程度で済んでくれてラッキーでしたが、運が悪いと送電系統が故障する事による
「所内単独」や「ブラックアウト(全停電)」が発生します。
このトラブルについて語ろうとすると長くなりそうなので、また後日にします。
【台風後処置】
台風が無事に過ぎ去ってくれたら次は通過後の作業も発生します。
それが「台風後現場点検」となります。
台風が通過した後に現場をざっと見まわって、何か異常が無いかを点検します。
今回の台風では特に目立った影響はなさそうでしたが、私の経験では
・保温材の飛散
・工具棚や倉庫など重量物の転倒
・飛散物によるバルブの破損
・電気室や倉庫などへの各所浸水
・鉄板や扉など予想外の物が破損し飛散
などが発生した例があります。
これらの被害は発見できないと後日二次災害を引き起こしかねないので、台風後チェックは入念に行う必要があります。
ざっとこんな感じでしょうか。
皆さんが家で台風対策をするのと同じで、私たちボイラーマン達もプラントへの台風対策を色々行って設備を保護しています。
自分たちのプラントを停めないことが重要だから行うことですが、発電所等インフラに関わる事業は何かあって止まってしまうと色々な所に迷惑や不便を掛けることになりますので、私たちボイラーマンはプラントを停める事の無いように頑張っています。
私が内心
(なんかプラントで大きなトラブル起こってくれたら楽しいことになるだろうなぁ♪)
とウッキウキだったことは秘密☆