発電所のボイラーは蒸気が常に一定圧力になるよう燃料供給量を自動で制御する装置が備わっていますが、そこに設置されている同期発電機にも似たような制御が備わっています。
今回は自分の予習がてら発電機に備わっている制御方法について紹介します。
・AVR
オートマティック・ヴォルテージ・レギュレータの略で自動電圧調整器のこと。
発電機の運転状態がプラントの運転状況によって変動しても、端子電圧を予め設定された電圧に維持するよう励磁電流を調整するための制御装置です。
無効電力制御や負荷遮断時の発電機電圧上昇の抑制などにも効果があり、発電所の通常運転時は基本的にこのAVRを用いて発電機を安定運転できるようにしています。
・APFR
オートマティック・パワーファクター・レギュレータの略で自動力率調整器のこと。
発電機の力率を設定された一定値になるよう制御するAVRの機能で、有効電力に対して無効電力を調整する為にAVRの電圧設定を調整します(力率下がる=有効電力が減るのでAVR減指令、力率上がる=有効電力上がるのでAVR増指令)
APFRは電圧制御をしなくなるため受電並列や他の電圧調整器がある場合に使用可能です。
注意点としてはプラント停止する時など発電負荷が著しく低い場合は界磁喪失保護リレーが動作する領域まで制御されてしまうため予めAVRに変更しておく必要があり、雷などで系統遮断が発生し所内単独運転になった時にAPFRが使用されていた場合は、自動でAPFRが切れ他の制御に切り替わるようインターロックが組まれています。
・PSS
パワー・システム・スタビライザーの略で、系統安定化装置のこと。
端子電圧を見ながら励磁系統を制御するAVRに、発電機の回転数や出力変化の信号を補助信号として加えて系統の安定化を向上させる装置です。
発電機の制御では系統事故時などの端子電圧の変動に対し急速な励磁電流での制御を行うことで素早く安定させることが出来ますが、制御全般にも言えることで高感度な制御をするとどうしても制御が振れる制動性に問題が出てきます。
PSSを使用することでこの制動性を増加させ安定化させることが出来ます。
・DROOP
発電機の周波数変化に対して負荷率を変化させることで周波数変動を抑える制御。
周波数が低下した場合は負荷率を上げ、周波数が増加した場合は負荷率を下げます。
電動機などの回転数は
120×周波数(Hz)/極数(P)
で決まります(例:周波数60Hz、極数2の電動機の回転数は3600rpm)
よって発電機周波数の変動は全ての回転制御機器に影響が出てしまうので、この周波数変動を制御することで系統への悪影響を防ぐ装置です。
他にもあるかもしれませんが私が今までの発電所で使用するのを見たのはこの4つくらいです。
基本的には発電機はAVRによって端子電圧が一定になるよう制御されており、場合によっては他の制御(APFR、PSS、DROOP)を組み合わせて運転するといった感じです。
新人時代、発電機をAPFR制御で運転していた際に電気主任技術者の人から
「発電機止める前は必ずAPFRをAVRにするように!」
という手順書をもらって訳も分からぬまま言われた通りやってたり、DROOPで周波数を変化させないようにしないといけない意味も分からぬまま運転していましたが、電験の勉強してようやくその意味を理解することが出来ました。
正直まだAPFRの制御方法とかは理解不足で解説も自信ないですが、今後さらに勉強してちゃんと説明できるようにしておきます!