プラントで働いていると年に一回くらいは停電操作や系統切り替えで系統の遮断器と断路器の開放操作をやる機会があるかと思います。
電験や1種電気工事士ではたまに出てくるんですが、高圧受電系統には図のように遮断器と断路器が配置されており、開放・投入する際は必ず順番を守らなければなりません。
現在私は最近入社してきた人に基礎教育をやっているのですが、その最中に受電設備の停電作業についての話題となりました。
その人は以前からプラント関係の職についていたということで、この停電作業の際に遮断器と断路器の開放操作をやったことがあるか聞いた所「あります」との返答だったので
私「じゃあ実際どうやるか」
と質問したら
「下流から順番に」
と言われました。
・・・チガウヨ?
「あ、上流からですか」
・・・ん~そういうことじゃないヨ?
私「これが遮断器でこれが断路器なんですけど、どういう順番で操作するか分かりますか?」
「・・・ちょっと分からないですね」
はい。電気詳しくないとこんなもんです。
私だって最初はこんな感じで操作してましたしね。
【遮断器と断路器の違い】
・遮断器とは
通常負荷中に設備の点検などで回路を切り離すほか、短絡事故などが起こって大電流が回路に流れた際自動的に回路から切り離す保護動作を行う設備。
・断路器とは
無負荷状態(回路に電気が流れていない状態)で使用する設備。通常遮断器の上流側に一つ、もしくは上下に取り付けられており、回路の点検の際にその部分から回路を切り離す為に使用する。
断路器が遮断器と違うのは「アークを消す能力を持たない」という点で、この能力が無い為電流が回路に流れている時に開放してはいけません。
高圧回路で電気を切ろうとすると、アーク放電と呼ばれるものが発生します。
このアークが発生すると電気事故や人が設備の近くにいる場合は人的被害も起こりえます。
よって、負荷電流が流れている回路を切り離すにはそういったアークを発生させないような消弧能力を持つ設備が必要になるので、その設備に遮断器を使用します。
アークを消弧する方法によって遮断器にも種類がありますが、一般的には真空バルブの中でアークを遮断する真空遮断機(VCB)が多いのではないかと思います。
【系統開放・投入の手順】
遮断器と断路器の違いが分かれば開放や投入の手順も自ずと理解できますね。
停電作業などで系統を開放する場合、断路器は通電中に開放してはいけないので先に遮断器を開放してから断路器を開放。
逆に投入する時は先に断路器を入れておいてから遮断器を投入します。
当然逆の順番で開放・投入すると前述のように事故に繋がるので、間違った操作をしてもそもそも開放・投入されないようなインターロックが組まれていることも多いです。
【最後に】
今回は断路器が遮断器の上下に設置された系統で説明しましたが、受電設備によっては断路器→遮断器のみが設置されているものもあります。
私が教育した人の前職では多分この断路器→遮断器のみというパターンの系統で、その場合は「下流から順番に」という説明でも操作手順としては間違ってはいません。
でも出来れば順番で覚えるだけでは無くて断路器と遮断器の違いを理解したうえで操作出来ると良いですね。