私がボイラーマンだ

3度の飯よりボイラー好き。ボイラーをこよなく愛する火力発電所勤務の変態ボイラーマンの日常を綴ったブログ

プラントが無事起動しました

今年も起動中にいくつかトラブルがあったものの、何とか計画通りにプラントが起動しました。

 

前に記事にしたのですが今年の起動は乾燥焚き終了後、一度立ち下げして朝から立ち上げる

 

・・・という予定だったのが結局乾燥焚き終了次第そのまま起動操作に入ることになりました。

doragonking.hatenablog.com

急遽この予定になったせいで、また色々揉めたのですがこの愚痴話は次回にしようと思います。

 

昼12頃に乾燥焚きが終了してからボイラー昇温操作を開始し、発電定格負荷に到達したのが夜中1時ということで約13時間の起動時間となりました。

予定は朝3時に定格負荷到達だったので2時間早く立ち上げることが出来ました。

 

起動時のトラブルは毎年少なからずあるので今回あったトラブルをご紹介します。

 

トラブルその1:冷却水ストレーナー詰まりまくり

色んな機器に冷却水を供給するための冷却水ポンプにはゴミを取り除く用のストレーナーが付いています。

我が社の冷却水はけっこう品質が良いのでストレーナーは滅多に詰まることはないのですが、今回プラントを起動する際にポンプを起動した所このストレーナー差圧が一気に跳ね上がりました。

一度ストレーナー清掃をしたのですが再度ゴミが詰まってしまい、結局4回くらい清掃してようやく落ち着きました。

 

過去のプラント起動時にこのストレーナーが詰まったことは無かったのですが、今年は冷却水ラインの整備をせずにプラント停止中の1か月間放っておいたので、恐らく相当ゴミが溜まっていたのでしょう。

今後また冷却水ラインの整備をしないことがあった場合は事前にポンプを立ち上げてストレーナー清掃をした方が良いと思います。

 

トラブルその2:燃料タンク詰まり

割とよくあるトラブルなのですが、燃料を事前にタンクへ受け入れをして何日か置いておくと、いざ燃料を搬送しようとした時に「ブリッジ」を組むことがあります。

※ブリッジとは?

微粉炭のように流動性がそこまで高くない固形物をタンクに長時間流動させずに貯蔵しておくと、燃料の重みによる圧力によりタンク内で強固に付着してしまい搬送途中でタンクから出てこなくなり内部に空洞ができた状態となること。アーチングともいう。

今回もこのブリッジにより燃料が搬送できなくなる事象が発生しましたが、これを解消するために我が社のベテラン運転員達が現場で除去作業をしてくれました。

 

 

トラブルその3:燃料コンベアの出力不良

燃料を炉内に入れて出力を上げようとした際に、コンベアの出力が設定と実値で剥離がありよくよく調べてみると、上流と下流のコンベアで回転数が違うことがわかりました。

このまま起動してしまうとうまく燃料が入らなかったりプラント負荷が乱れたりするので原因を調べたところ、どうも今回の定検で業者が上流側のコンベアの出力パラメータを変更していたものの下流側のコンベアの出力パラメータは何も変更していなかったことがわかりました。

なので勝手ではありますが運転員でこの下流側コンベアのパラメータを上流側コンベアのパラメータと同じ値に設定しなおしたところ、無事にこの不良が解消されました。

 

ちなみに今回のこの事象の件を発電課長がメーカーに確認依頼したそうですが業者側は「下流側のパラメータは関係ない」と言い張っているそうで課長がブチ切れたそうです。名の知れた業者ではありますが今回のようにけっこう適当なことやったり言ったりするのでいまいち信用なりません。

所長曰く「3流メーカー」。私もそう思います。

 

トラブルその4:電動弁が固着により開かない

人力で開けるのが大変な大きいバルブには、電気の力で駆動する電動弁が取り付けされています。

これがあれば中央制御室のDCSで開度指令を打ち込むだけで、自動で弁が開閉してくれる優れものです。

 

ですがこのバルブ、けっこうな頻度で固着して開かなくなることがあります。

そういった場合は電動弁を人力で開けるという本末転倒な作業をするのですが、今回は人力でもこのバルブが開かなくなってしまったのです。

 

我が社の運転員・スタッフ総出で1時間くらいかけて開けようと試みるも、うんともすんとも言わない電動弁。

しかも厄介なことに、このバルブが開かないと発電負荷を上昇することが出来ない!

 

これは最悪一度タービンを止めなければならないかも・・・!?

という緊張感と焦りが漂う中で発電課長が諦めずに何度も開閉操作を行っていた所・・・

 

 

なんと固着が急に解消!!

 

固着の原因もいきなり解消した理由もわかりませんでしたが、取り合えず弁を開けることが出来たので無事に発電負荷を上げることが出来ました。

 

これらのトラブルがなければ多分あと2時間くらいは早く定格負荷まで上げることが出来たと思います。

ただ初めのころは操作ミスなどのヒューマンエラーで起こるトラブルが多かったものがだんだん機器自体のトラブルが大半でヒューマンエラーによるトラブルは少なくなってきたのは成長したな~と思います。

 

今回私は起動日前日と当日が夜勤だったので、まず夜勤を8時間した後、明けの起動日はそのまま1日勤務→そのまま夜勤に突入し8時間勤務をして帰りました。

総勤務時間は32時間、会社にいた計算になります。

 

辛かろうって?

全然?

 

プラント起動は年に一度の大仕事。

ボイラーマンとしてはこの1大イベントを逃すなんて方が辛いってなもんです。

それにプラント起動中は楽し過ぎて時間感覚が無くなるのであっと言う間に終わった印象しかありません。

 

流石に32時間勤務が会社にバレたらまずいんで、夜勤明けは少し残業してタイムカードを押して帰ったことにして、日中はサービス出勤してました。

 

プラントの起動操作が出来るなら金などいらん!!

 

今年の4月に入社した後輩君には多分引かれたとは思うけど・・・

そんなことは気にしねぇ!!

 

 

もし来年も会社にいたら次も必ず全部起動に立ち会おうと思います。

多分、親が死んでも起動を優先すると思う。