私がボイラーマンだ

3度の飯よりボイラー好き。ボイラーをこよなく愛する火力発電所勤務の変態ボイラーマンの日常を綴ったブログ

ボイラーの乾燥焚きとは

【乾燥焚きとは?】

ボイラー内部には多数の水管があり、燃料の投入口付近など水管が摩耗するリスクの高い場所などには水管を保護するための耐火材と呼ばれるものを打ち込みます。

 

耐火材はコンクリートみたいに水と混合して流し込んで形成させる物なので、打ち込んだ後は耐火材内部の水分を飛ばして焼結させる必要があります。

この工程を行わずに急にボイラーの温度を上げると、耐火材にクラックが入ったり最悪爆裂して炉内を傷つける二次トラブルに発展する恐れがあります。

 

耐火材の補修状況によって必要な炉内温度や保持時間は変わりますが、我が社で行うものでは重油バーナなどで炉内を1時間当たり50℃くらいづつゆっくり昇温後、300~500度程度で温度を保ちつつ数日間ボイラーを運転させるというのが一般的です。

 

 

【乾燥焚き後の運用】

乾燥焚き後は一度完全に冷却してからボイラーの炉内を点検するパターンと、そのままプラントの本起動に入るパターンがありますが、時間に余裕があったりよっぽど炉内を点検する必要がある場合以外は大抵そのまま起動に入るパターンが多いと思います。

 

普通はちゃんと炉内を点検して問題ないことを確認する方が良いんですが、言ってしまえば「勿体ない」んですよね。

せっかくコストの高い重油なんかを使って炉内温度を上げたのに、いちいち冷やして、また起動して・・・とやっていたら燃料代ももったいないし発電出来ないので売り上げもありません。

だったら温度を保持したまますぐ起動操作に入った方がコスパが良いという訳です。

 

この場合の乾燥焚きが問題ないかどうかという判断は、ほぼ「勘と運だより」になります。

炉内を見ないので当然ですが、こちらとしてもメーカーとしても

 

規定通りに昇温して規定通りの温度を保持して規定通りの日数で乾燥焚きを行ったのでヨシッ!!

 

って感じです。