私がボイラーマンだ

3度の飯よりボイラー好き。ボイラーをこよなく愛する火力発電所勤務の変態ボイラーマンの日常を綴ったブログ

火力発電所で働くなら自家発電系か独立系か

私がしている転職活動は基本的にボイラー設備やプラント、その中でも特に発電所関係を重点的に受けてます。

ただ、一括りに発電所と言っても結構いろんな体系を取っています。

 

◇一般事業者系

中部電力東京電力と言った、それぞれの地域にある発電・送電・配電を全てを一括して担っている最も有名な電力会社。

 

◇自家発電事業者系

自社の工場内などに発電所やボイラー設備があり、作った蒸気熱や電気を工場内で消費する。

恐らく大抵の発電所関係はここに当たると思います。

規模も工場に合わせて大小様々あり、求人を見ても大抵「○○工場動力課」など発電所単体ではなくその工場での社員として採用される形になります。

 

◇独立事業者系

〇〇共同発電といったようなIPP業者(発電所で作った電気を一般電力に卸売りするような会社)

またはここ数年で増加してきたFIT制度(自然エネルギーで発電された電力を20年間固定価格で買取る制度)によるバイオマス発電といった会社もこれに該当すると思います。

発電所で作られた電気はそのまま一般送電線にて電力会社等へ販売されます。

 

 

一般事業者は別として、働く上で私が思う特徴やメリット・デメリットなどを考えてみようと思います。

 

・自家発電系

・給料が発電所単体に左右されない

例えば燃料費が上がった、発電電力量が減った等の理由で発電所内での純利益が減少したとしても、工場全体での売り上げが伸びていれば給料やボーナスが下がることが無いというのは利点だと思います。

現に私がいる自家発電所は夜間儲からないという理由で発電出力を大幅に抑えた運転をしていましたが、工場全体で見ればその方が利益が出ているので給料に影響するようなことはありませんでした。

 

発電所のトラブルが死活問題

プラントがトラブルで停止するような事があった場合、発電所単体であれば供給責任があるとはいえ他部署に迷惑を掛けることはないですが、自家発電だともし電力が供給できないと最悪工場が全停止することになりあらゆる方面から怒られます。

復旧を急ぐ中「早く復旧しろ」という連絡が来てイライラします。

また、止まりそうで止まらないギリギリのラインでのトラブルが起こると、自分が止めてしまうかもしれないという責任感でDCSを操作する手がブルブル震えます。

精神的にかなり辛い。

 

・会社や部署でのヒエラルキーが基本低い

会社で一番花形なのはやっぱり製品を実際に作っている部署だと思います。

しかもそういう部署は体力仕事のところが多いので働く人も体育会系の人たちが比較的多い風潮があります。

そんな中でただ蒸気や電気を作っているだけ、しかも基本DCSで座って監視してるだけの発電所と言うのは他の部署から馬鹿にされがちです。

私の前職も研修で行った他所の工場も、ボイラー課とか発電課というのは

「肉体労働できないガリ勉が行くとこ」みたいな風潮がありました。

良いじゃない。体使うか頭使うか好きな方やってれば。

※あくまで私の周辺の自家発電の話でどこの自家発も馬鹿にされてるわけではないです・・・と信じてます。

 

・部署間の異動がある

発電所の社員と言っても工場の従業員の一人であることが多いので、人事によっては全く関係ない他部署へ異動したりする場合があります。

これは人によってはメリットでありデメリットでもありますね。

例えばどうしても人間関係や仕事が合わなくて辛いとかで条件を聞いて貰えれば、他部署へ行くことも可能です。

現に私のいた所でも「3交代辛い」「仕事面白くない」などの理由で日勤や他部署へ異動していった人が何人もいました。

私は逆に発電所以外で働くことが想像できないくらい嫌だったので工場勤務の人事異動のタイミングでは毎年ヒヤヒヤしてました。

 

 

・独立系

・品質管理の必要がない

普通の工場では作った製品の品質管理というのが重要で、これの良し悪しが売り上げにも多大な影響を与えます。

なので工場では日々製品を作る製品課と品質管理課が喧嘩してたりしました。

でも発電所単体なら作る製品=電気なので品質が関係ありません。

作ったものに対して誰からも文句を言われないのは意外とストレスなくて良いものです。

 

・売り上げが発電出力のみに依存

世の中がどんなに不況になっても発電さえ出来ていれば給料もボーナスも普通に支給されます。

逆にどんなに儲けたくても発電機の出力以上は売電出来ないので、収益を上げるためには自社で使用する所内電力削減くらいしか出来ません。

そして売電量が決まっているので発電所の純利益は電力価格や燃料価格にかなり左右されます。

特に発電所の売上原価のほとんどは燃料代が占めている上に、運転するうえで燃料は必要不可欠なものなので、燃料代の上昇は致命的ともいえます。

 

・部署間のヒエラルキーがそんなにない

発電所がメインの会社なのでむしろ運転課が花形ともいえるため、特に他部署からどうこう言われることがありません。

しいて言うなら運転課と保全課、機械担当と電気担当くらいで住み分けはありますが、表立ってぶつかり合うことはそんなにないと思います。多分。

 

・部署が少なく異動がほとんどできない

ある程度規模の大きな発電所なら部署もいくつかあると思いますが、小・中規模クラスの発電所では運転か保全の2部署か、最悪部署が「発電部」で一括りしかなく運転員がすべての作業を担当する所もあります。

そんな所だと、もし仕事が自分に合わないと感じても異動もできないし、変な人が来てしまったらずっとその人と仕事をしなければならないので詰みます。

私の現在勤めている発電所ではこれが原因で毎年何人も人が入れ替わります。

逆に性に合っていればずっと同じ環境で働けるため、変化を比較的嫌う人には合っていると思います。

 

 

どちらの発電所も一長一短ありますが、私はどちらかと言えば独立系のほうが好きです。

前職で自家発にいた頃は、どんなに仕事頑張って資格とっても他部署からは「所詮ボイラー課」みたいな扱いでしたし。

そんな時に上司から言われた

「工場の製品作ってる部署の連中は転職した時スキルや知識がよそでは通じないことが多い。でも発電所は設備や原理に他社との違いはそんなに無いし、スキルや資格を身に着ければどこへ行っても通じるから頑張って仕事覚えて損はない」

という言葉に励まされたものです。

 

独立系は発電所そのものの数がそもそも多くないので、求人も少ないのがデメリットです。

まぁでも結局大事なのは独立系・自家発系とかではなくてそこで働く人達(特に上司)なんですけどね・・・