ボイラータービン主任技術者(略してBT)というのは、電気事業法に基づく発電用設備の維持や運用の保安監督を行う人たちのことです。
発電所において電気関係の設備の監督を担当するのが電気主任技術者であれば、ボイラーやタービンなどの機械関係設備の監督を担当するのがこのBTということです。
組織図とかでもこのBTと電気主任技術者は役職関係なく社長や所長の直下に位置しています。
それだけこの2つの資格に選任されている人たちは重要なポジションという訳なので、当然仕事がめちゃくちゃ出来て優秀な人たちが揃っている・・・
と思っていたのですが、様々な会社のBTの人たちを見てけっこう色んな人たちがいるもんだと考えが変わりました。
実際すごい人たちばかりなのですが、中にはちょっとおかしな人もいたりするので今回は私が実際に出会った色んなBTの方たちを紹介します。
【前職で出会ったBT】
・直属の完璧超人上司 Y氏(50代)
私に
「BTってこんな人でないと務まらないんか・・・すげぇ。自分には無理やな・・・」
と思わせた人。
仕事バリバリ熟すし知識も技量も申し分ない、しかもしゃべり上手で部下や業者の扱いもうまいと言う、まさに完璧な超人だった。
普段の仕事はもちろん定期点検などではY氏がほぼ一人で仕切って作業が進んでいたため、
多分この人がいなくなると誰も仕事ができない。
この人のせいでBTは凄い人たちという刷り込みができてしまったと思う。
・グループ企業の研修先で出会った鉄人おじぃ Y氏(60代)
別会社に数か月間研修でお世話になったグループ企業の発電所でBTを務めていたおじいちゃん。
還暦をとっくに迎えていたが、この人も知識や経験がすごくて変わりがいないということで会社に引き留められ現役でBTを熟していた鉄人。
しかもこれだけすごいのに全然それを感じさせないおちゃらけおじいちゃんで、皆の人望も熱かった。私も好きだった。
この人のせいでBTは凄い人たちという刷り込みができてしまったpart2。
・グループ企業の研修先で出会った嫌味な班長 A氏(40代)
同じ研修先で出会った、おじいちゃんBTの後任ということで仕事をしていた40代若手の班長。
この人も知識・経験ともにすごい人でいろいろ教わったのだが、いかんせん人を見下す発言が多くて私は嫌いだった。
その発電所の運転員にも嫌われており、これがあの人格者おじいちゃんBTの後任というのを同情した。
ただこの人のおかげで
「こういうやつらにバカにされないようたくさん勉強しよ!」
と奮起できたので、ある意味私の一番人生の功労者でもあると思う。
・別の発電所から研修でやってきたスーパーマン T氏(40代)
グループ企業で新しく発電所が建設されるということで別会社から雇われた人で、私の発電所に数か月ほど研修にやってきた40代の中堅BT。
この人も仕事の鬼のような人で、当時20代の自分にすら
「わからないことあったら是非教えてください!!」
と頭を下げられる熱血漢の好青年。
実際仕事の上達力も凄まじく最後のほうはむしろうちの主戦力になっており
「条件良くするからうちに来ない?」
と本気か冗談かわからない誘いをうちのBTにされていた。
ちなみに雇われ当初は主任だったのだが、最近その人の噂を聞いたら
数年で所長クラスまで上り詰めた挙句その人がいないと会社が成り立たないとまで言われる人になっていた。
ハンパねぇ。
この人のせいでBTは凄い人たちという刷り込みができてしまったpart3。
【現職で出会ったBT】
・某電力会社狂信者の元所長 I氏(60代)
面接時から色々ヤバい噂のあった某大手電力会社OBの元所長。
事あるごとに保安規定の説明会を開き、口を開けば
「私のいた電力会社では~」
と語りだすヤバい人。
会社のスローガンに
「One for all All for one」
を掲げていて何これ?と思っていたら、どうも電力会社のスローガンをそのままこの会社に採用していたらしいほど電力会社愛に溢れている。気持ち悪い。
パワハラ問題が酷すぎて実質クビにされた。
・冷静沈着な元副所長 T氏(60代)
あまり深く関わりを持つことはなかった人だったが、それでも確実に仕事こなしていたのがわかる凄腕BT。
入社当時還暦を迎えており、きっちり最後まで仕事をしてきっちり定年で辞めていったクレバーなおじいちゃん。
・パーフェクトボイラーマンの元部長 K氏(60代)
人生で一番お世話になったBTの一人。
もともと機械屋でBTを務めていたが電気の勉強をしたいと電験3種を取得し、最後は電験2種まで(認定だが)取得して電気主任技術者として仕事も行っていた、まさに私の目指すパーフェクトボイラーマンの一角。
普段はただのスケベな好々爺だがボイラーのことになると人が変わったように熱血になり、時には厳しく叱られることもあるが基本的に自分たち現場の人間と積極的に関わりを持って意見や相談を聞いてくれる昭和の人情味溢れる人物。
私含め現職運転員はこの人だけには絶対頭が上がらず、たまに納得いかない指示をされることがあっても
「まぁあの人が言うなら仕方ないか」
と全員が言うことを聞く最強の上司。
定年を迎えて惜しまれつつ退職。
退職時は
「もうボイラーはこりごりじゃ」
と語っていたものの
再雇用先の発電所で相変わらずバリバリやってるとの噂
元気そうで何より。
・男梅と呼ばれた元課長 K氏(50台)
見た目が男梅のように超ごつくて超強面の発電課長さん。
こんな厳つそうな人見るからに仕事できそう・・・
と思っていたがふたを開けてみればこれがまぁポンコツ。
仕事しなさ過ぎて最後は自分より後に入社した若手にすら叱られまくり
精神を病んで(?)無念の退社となった。
その見た目とは裏腹に精神力は貧弱だった模様。
こんなでもBTってできるんだ・・・とBTの格を大きく下げた人part1
・超熱血ボイラーマン元課長 A氏(30代)
男梅BTの後任的に入社してきた若手のBT。
とにかく仕事とボイラーが大好き。
それだけなら普通にまともな人なのだが、問題はその熱血を周りにも強要してくることで、あまりやる気のない運転員には容赦ない熱血指導を行う少し迷惑な人。
(ちなみに私は同類と思われていたのか熱血指導の餌食にはならなかった)
我が社では運転員の途中退社は過去に一人だけなのだが、その理由がこの
「A氏が嫌だから」
というもの。
そのやる気が空回りながらも奮闘していたが、最後はとある運転員の
「お前の存在が全ての元凶」
発言に心折られ無念の退社。
転職先はまた別の発電所らしいが
ちゃっかり熱血指導再開中との噂。
懲りろ。
・所長候補で入社してきたツルピカ頭 N氏(60代)
前述したパワハラ所長を辞めさすべく会社が採用した次期所長候補のふれ込みでやってきた元原発関係の仕事をしていたおじいちゃん。
頭はツルピカで見た目は完全にヤ○ザ。
更にハスキーボイス過ぎて何言ってるか分かんない。
というクレイジーな我が社に相応しい見た目も中身もクレイジーな人物。
【クレイジーエピソード例】
設備を整備している業者の工場へ打ち合わせに行ったときの出来事
N氏「明日は何時頃に伺えばよいでしょう?」
業者「そうですね。とりあえず9時からは朝礼などあるので・・・」
私(じゃあ9時半か10時ごろって所かな)
N氏「分かりました。・・・では9時に伺います」
業者・私「!?!?」
その後地元で新しくBTの募集があったとかであっけなく転職。
次期所長候補のくせに在籍年数は僅か1年。
何しに来たんだお前は。
こんなでもBTってできるんだ・・・とBTの格を大きく下げた人part2
・某大手電力会社OBのキング・オブ・ポンコツ所長 A氏(60代)
前述したパワハラ所長を辞めさすべく会社が採用した次期所長候補のふれ込みでやってきたおじいちゃんN氏・・・が1年で辞めてしまったので更に新しく採用されたおじいちゃん。
詳細は過去に書いているので参照してください。
こんなでもBTってできるんだ・・・とBTの格を大きく下げた人part3
【最後に】
前職にいたころは
BTをやってる人は神
と思うくらい凄い人たちばかりだったのですが、転職して今の会社に来てからあまりにポンコツBTが多くて
実はBTって誰でも出来るのでは・・・?
と思うまでになってしまいました。
現職は入社して6年ほど経つのですが、BTはもう毎年のように変わります。
酷いときは1年持たずに変わります。
あまりに変わりすぎているせいか私がBT申請をした際に保安監督署の担当に
「またあなたの会社のBT変わるんですか?」
と完全に目をつけられてました。
ごめんね。
うちの会社、クレイジーで。