ボイラーと言って一般の人が想像するのはせいぜいガスで沸かすお風呂とかその程度だと思います。
ただ、発電所で使われるボイラーというのは当然そんなレベルではなく、燃料もガス以外に重油や石炭など様々なものが使用されています。
また石油や製紙工場なんかに電気を供給するいわゆる自家発電所では、工場から排出されるゴミなんかを再利用のために燃料として使用する場合もあります。
今回はそういった固体燃料を使用する場合においてのボイラーがどのような種類があるかをざっくり説明していきます
①ストーカー式
一般にはゴミ焼却炉に採用されているタイプのボイラーです。
炉内は階段状になっており、上段に投入された燃料が階段を下っていく間に燃焼させる方式です。
最下段に到達した燃料は灰として炉外へ排出されます。
イメージとしては焚火のようなものな所に燃料がどんどん投入されていく感じです。
このボイラーの最大のメリットは、大きな固形物でも炉内で燃焼させることができるということです。
一般に、固体の燃料は炉内に投入し燃焼させることができる最低限の大きさがありますが、ストーカー式ボイラーはこの大きさ制限値が他のボイラーと比べて最も大きいものになります。
これがゴミ焼却炉でこのタイプが採用される理由になりますね。
デメリットとして、燃焼効率(燃料を入れた量に対して出せる蒸気の量の割合)が他の方式よりも悪いという点です。
なので単純に廃棄物を燃やしたい程度であれば良いですが、効率を追求したボイラーを採用したい時にはストーカー式を採用することはありません。
②流動層式
最大の特徴は炉内に砂が入っている点で、この砂に空気を入れて流動させている中に燃料を投入し、砂と燃料の摩擦で燃焼させる方式です。
このボイラーは後述する微粉炭ボイラーとストーカー式ボイラーの中間のような位置づけで、悪く言うと中途半端になりますが、どちらかといえばそれぞれのメリットを良いとこどりしたボイラーと言えます。
砂に燃料を投入するので、当然使用する燃料の径にある程度の制限があります。しかし燃焼時間がストーカーより早いため、燃焼効率は格段に良くなります。
ちなみに私の発電所もこの流動層ボイラーを採用しており、もっと細かく言うと循環流動層という、更に燃焼効率を高めたボイラーになります。
最近では技術が発達してきており、ごみ焼却炉もストーカではなくこの流動層式を採用するところが多いようです。
③微粉炭ボイラー
これは主に石炭燃料を使用するボイラーで採用されるタイプです。
石炭をコーヒーミルのような機械で粉末状にして、それを重油バーナのように炉内に噴射して燃焼させる方式です。
メリットは他のボイラーに比べて最も燃焼効率が良いことと、負荷追従性といってトラブルや電力需要に合わせて発電電力を上下させるときに、ボイラー制御がどれだけ早く付いてこられるかどうかの制御性が良いという点です。
デメリットは、上記でも述べたように粉末状の燃料をバーナで噴霧する為、燃料の径に大きな制限がかかる点です。
また、このボイラーは炉内温度が高くなりやすく、その分公害の元になる排ガスが発生しやすいという点です。
ただその効率や負荷追従性の良さから、一般電力会社や大規模発電所ではだいたいこのタイプのボイラーが使用されています。
最後に
いかがでしたか?
少しは種類に詳しくなっていただけたと思います。
皆さんもゴミを捨てにいったり煙突のある工場を見かけたら
「何式ボイラーなんだろ?」
ということを考察されたら楽しいと思います。
何なら従業員の人に聞かれてみても良いですね。
「ここのボイラーって何式になるんですかね?」
って。
きっとそこの従業員に変態を見る目で見られると思います。