【概要】
以前に乙種4類の話を書きました。
今回はその最も上位にあたる「甲種」の話をしたいと思います。
最もメジャーな乙種4類はガソリンや重油などを扱えますが、甲種を取れば1類~6類に分類されている危険物全てが取り扱えるようになります。
大概のプラントで取り扱う危険物は乙種4類と、多くてもあと2種類くらいしか取扱うことは無いので、実際に甲種が必要なプラントは多分相当限られていると思います。
(そんな危険物まみれの職場で働きたくない・・・)
あと甲種の受験には一定の資格が必要で、これを満たしていないとそもそも受験ができません。その資格とは
①大学で化学関係の単位を15以上取得している
②危険物取扱経験が2年以上ある
③乙種1又は6類、2又は4類、3類、5類を取得している
などです。
大学の単位は社会人になってからでは満たせない為、大学で化学を専攻していない社会人で受ける人は、ほとんどが③の乙種を4種類以上取らなければ甲種を受験できないことになるのでけっこう面倒くさいですね。
【課目と合格点】
・危険物に関する法令:15問
・基礎的な物理学と化学:10問
・危険物の性質並びに火災予防及び消火方法:20問
それぞれ点数が60%以上で合格(課目合格制度なし)
他の乙種の試験と科目は一緒ですが、最後の「危険物の性質や消火」に関する問題数が乙種は10問に対して倍の20問となっています。
【合格率と難易度】
個人的難易度を5段階で表すと
(5:難しい、4:やや難しい、3:普通、2:やや簡単、1:簡単)
甲種・・・3:普通
色々なサイトに甲種はそこまで難易度高くないみたいなことが書いてあります。
実際に勉強&受験した身としては、確かにそこまで難しくは無いですがそうやって油断してたら高確率で落ちます。
法令は他の乙種とさほど変わりませんが、化学・物理学は乙種と比べたら相当レベルの高い問題が出題されます。(エネルギー管理士・特級ボイラー技士などを取得していた私ですらけっこう難しいなと思うレベル)
また危険物の性質・消火についても当然ですが1~6類全ての危険物についての知識が問われるので、けっこうがっつり暗記しないといけません。
~平成31年度危険物試験実施状況~
年度 | 区分 | 甲種 | 乙種 | 丙種 | 合計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1類 | 2類 | 3類 | 4類 | 5類 | 6類 | 乙種計 | |||||
R1 | 申請者 | 1,288 | 702 | 628 | 809 | 11,631 | 757 | 734 | 15,261 | 727 | 17,276 |
受験者 | 1,068 | 672 | 603 | 768 | 10,042 | 724 | 710 | 13,519 | 694 | 15,281 | |
合格者 | 412 | 477 | 427 | 568 | 4,579 | 513 | 473 | 7,037 | 431 | 7,880 | |
合格率 | 38.6 | 71.0 | 70.8 | 74.0 | 45.6 | 70.9 | 66.6 | 52.1 | 62.1 | 51.6 |
合格率はだいたい30~40%程度なのでそこまで低いわけでもないです。
ただし、乙種は受験資格が無いのに対して甲種は受験資格があります。
しかも甲種が実際にいる所はあまりないので、受験する人は(多分ですが)自らの意思で勉強し、受験しにくる人たちになります。
誰でも受けれる乙種の受験者と比べたら段違いにレベル・やる気は違ってきます。
つまりある程度の危険物や化学関係の知識をもった、それなりにやる気のある人たちが受験して4割程度しか受からない、ということになります。
甲種がレベル低い・簡単と言われているのは単純に
「年間で受験できる日数が多いので仮に落ちてもすぐまた受験できる機会がある。」
という所だけだと思います。
【受験動機】
その年に受験する予定の資格が公害防止管理者水質3種のみだったので、その試験日10月までが暇だなぁと思い1月~5月くらいまでに試験のある工業系資格を探している際に甲種にたどり着きました。
更に私は大学で化学を専攻しており化学系単位15以上の受験資格をまさに満たしていた為、公害防止管理者受験までの暇つぶしとして申し込みました。
【合格体験と勉強方法】
勉強期間:3か月(60時間程度)
使用した教材:
(参考書)
・わかりやすい!甲種危険物試験(弘文社)
わかりやすい!甲種危険物取扱者試験 (国家・資格シリーズ 103)
- 作者: 工藤政孝
- 出版社/メーカー: 弘文社
- 発売日: 2019/08/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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工藤本と呼ばれるらしい。
評判が良いので購入してみましたが、確かに見やすくて良い参考書でした。
賛否両論あるごろ合わせでの暗記方法も、個人的には覚えやすく良かったです。
(問題集)
・甲種危険物取扱者試験(公論出版)
メインで使用した教材。
「この問題集からそのままの問題が出ました!」
という胡散臭いネット情報を信じて勉強した結果
本当にそのまま出とるやんけ!!
と、試験中驚きました。
そのままとまではいかなくとも、ほとんど似たような問題も多く出題されてました。
時間が無い人や最小限の勉強で抑えたい人はこの問題集だけやり込めば多分大丈夫だと思います。
乙種4類・甲種とこの公論本のおかげで合格できており私の中で
「消防関係の資格は公論本がセオリー」説が誕生しました。
関係ないですが消防設備士の試験を現在勉強していますが、当然問題集はこの公論本1本です。
・本試験形式!甲種危険物取扱者模擬テスト(弘文社)
公論本の欠点を敢えて言うなら、「本番形式じゃないからどの分野がどの程度の割合出るかよくわからん」所なので、この問題集で技量試しを行いました。
5回分の試験方式で問題だ出されているので、本番さながらの試験勉強が出来ます。
ただし、メインとするには少し物足りない感も否めません。
「公論本をメインで問題解きつつ、暗記したい箇所を工藤本で覚える」
というのが私が行った勉強です。
ネットでそこまでの難易度じゃないという評価だったのと公害防止管理者までの繋ぎとしか考えていなかったため、勉強する前はそこまで必死に勉強する気は無かったのです。
が、問題集で物理化学や危険物の性質をやりだしてから乙種4類との難易度や暗記量の差にあせり、そこから必死に勉強を開始しました。
特に危険物の種類と性質などはエクセル表で一覧を作成し暗記しました。
○エクセル表例:各類についての特徴をひたすら羅列
勉強比率としては
法令3割:物理化学3割:危険物の性質4割
といった感じで、暗記量多めの性質を気持ち多めに勉強しつつも課目合格制度がないので他の科目もそれなりにやり込みました。
・結果
法令:12点/15点(80%)
物理化学:9点/10点(90%)
危険物の性質:16点/20点(80%)
参考書と問題集を駆使しけっこうやり込んだ結果、全科目8割以上での合格となりました。
特に物理化学は公論本の問題がほとんどそのまま出てたため余裕でした。
他の科目でも公論本そのままの問題が一定数あったのでまさに公論本様様です。
【最後に】
他のサイトでも物理化学は意外と難しいと言われていた通り、普通に勉強すると耐性のない人だと苦になるレベルで難しいです。
しかし上記に何度も書いたように、問題集をやり込んでいればほとんど同じ問題がでるという点が救いであり、甲種が簡単といわれる所以だと思います。
法令と危険物の性質についてはひたすら暗記しかありませんが、これも問題集から似たような問題が出ますので、勉強量はいるものの難易度が高い資格ではないのでこれから受験を考えている人は、「それなりに覚悟」し、でも「そこまで気負わなくても大丈夫」だと思っていてください。